「賃貸契約の際に連帯保証人が必要と言われた…
連帯保証人ってなんだろう?
緊急連絡先や保証会社との違いは何なのかな?」
このような疑問にお答えします。
筆者は賃貸営業歴5年の賃貸営業マンです。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格も保有しています。
近年の賃貸契約は連帯保証人ではなく家賃保証会社を利用して賃貸契約を結ぶ不動産会社が多いです。
しかし少なくなったとはいえ、賃貸契約の際に連帯保証人が必要な場合もあります。
連帯保証人だったり、緊急連絡先だったり、保証会社だったり…
なかなか一般の方だと区別が付きづらいと思います。
そこで今回は賃貸契約の連帯保証人について詳しく解説をしていきます。
- 賃貸契約の連帯保証人って?
- 連帯保証人と緊急連絡先の違い
- 連帯保証人と保証会社の違い
- 連帯保証人は誰でもなれるの?
- 連帯保証人の賃貸契約に必要な書類
- 2020年4月からの民法改正によって変わったこと
おもに上記6点について詳しく解説をしていきますので、この記事をお読みいただければ賃貸契約の連帯保証人について詳しくなれますよ!
賃貸契約の連帯保証人って?
賃貸契約の連帯保証人とは、
契約者に代わって債務を負う人
を言います。
例えば契約者が家賃を滞納してしまった場合などに、契約者に代わって家賃を支払わなければいけなかったり、家賃以外にも退去費用や修繕費用なども代わりに支払わなければいけないのが連帯保証人です。
少し複雑な話となりますが、連帯保証人の場合、
- 「催告の抗弁権」
- 「検索の抗弁権」
- 「分別の利益」
という3つの権利を持っていません(「保証人」にはあります)
このような権利を持っていない連帯保証人は、オーナーや不動産会社が契約者を飛び越えていきなり連帯保証人に家賃などの支払いを命じても、連帯保証人はこれを拒否することができず家賃などをすぐに支払わなければいけません。
連帯保証人は非常に責任が重いのです。
ですので、連帯保証人を依頼する場合はしっかりと話し合いを行うことが大切ですし、反対に連帯保証人を頼まれた時は慎重に検討する必要があると言えます。
連帯保証人と緊急連絡先との違い
一方で緊急連絡先には連帯保証人のような債務を負う必要は全くありません。
緊急連絡先とはその名のとおり、契約中の緊急の要件が発生した際に入居者本人に連絡が付かなかった場合に代わりに連絡する人のことです。
例えば隣の部屋で火災が発生して入居者本人に連絡をしたが繋がらなかったケースだったり、騒音トラブルで注意を受けたが入居者に繋がらなかったケースなどです。
連帯保証人のように滞納した家賃の請求がきたりすることが無いのが緊急連絡先です。
なんとなく似ているような感じがする連帯保証人と緊急連絡先ですが、果たす責任には天と地との差があります。
緊急連絡先については下記の記事にて詳しく解説をしています。
よろしければ参考にご覧ください。
連帯保証人と保証会社の違い
連帯保証人も保証会社も「入居者が家賃などを滞納した際に債務を負う」といった点では同じです。
入居者側から見ると、保証会社にお金を支払い保証会社へと加入するか、親族などに連帯保証人となってもらうようお願いするかの違いが生まれます。
ですが、入居者にどちらかを選ぶ権利はなく、物件によってオーナーや不動産会社の意向で保証会社を利用するか連帯保証人を立ててもらうかが事前に決まっています。
最近では連帯保証人を立てるのではなく、保証会社を利用して契約を結ぶ形が一般的となっています。
仮に連帯保証人を立てる事ができても、保証会社の利用必須という契約条件である物件の場合は、保証会社に加入しなければいけません。
連帯保証人は誰でもなれるの?
連帯保証人は誰でも簡単になれるわけではありません。
連帯保証人の条件は不動産会社によって異なりますが、やはりまずは、
「入居者が家賃を滞納した際に代わりに支払える能力があるか」
が一番重要ですので、安定したしっかりとした収入があるという事は大前提です。
さらには親族(両親・兄弟・子)であることも条件として定めている不動産会社もあります。
連帯保証人の情報は入居審査結果に大きく影響しますので、連帯保証人には「できる限り年収が高く安定した人」を選ぶことで入居審査に通過できる可能性が高くなります。
連帯保証人がいない場合
なかには連帯保証人になれる人が親族でいない方もいらっしゃると思います。
その場合は友人や、職場の同僚・上司などでも代わりに連帯保証人として認めてくれる不動産会社もあります。
また、それも難しい場合は、連帯保証人を立てずに保証会社を利用する不動産会社の物件に切り替える方法が一番良いです。
近年は連帯保証人を立てずに保証会社を利用して賃貸契約を結ぶ不動産会社がほとんどですので、代わりとなる物件を見つけることは決して難しくないはずです。
連帯保証人は途中で変更できる?
連帯保証人は途中で自由に変更することはできません。
ここまでお伝えいたしましたとおり、連帯保証人は非常に大きな責任を負っています。
ですのでそう簡単には連帯保証人の変更希望はオーナーや不動産会社から承諾を得ることは難しいでしょう。
変更を希望するとしても、現在の連帯保証人と同等かそれ以上の支払い能力がある人物でないと変更の承諾を得ることは難しいです。
連帯保証人の賃貸契約に必要な書類
賃貸契約の際に連帯保証人が必要な書類は以下のとおりです。
必ず必要なもの
- 印鑑
- 実印
- 印鑑証明書
必要になる可能性があるもの
- 所得証明書
- 住民票
印鑑証明書や住民票など、すぐには準備できない書類がありますので、必ず連帯保証人になる方には事前に必要な書類を伝えておきましょう。
2020年4月からの民法改正によって変わったこと
2020年から民法改正により、連帯保証人に対して大きく3つの点が追加されました。
- 個人根保証契約の極度額ルール
- 主債務者から連帯保証人への情報提供義務
- 債権者から連帯保証人への情報提供義務
これまでは連帯保証人の責任限度額というものは定められていませんでしたが、民法改正によって極度額(連帯保証人の責任限度額)を定める形となりました。
また、主債務者や債権者は連帯保証人に対して情報提供をする義務も追加されました。
これは、
「契約者は事前に連帯保証人に現在の資産状況を報告し、オーナーや不動産会社は契約者の家賃の支払い状況などの情報を連帯保証人に求められた場合は提供しなければいけない」
ということです。
大きく一つにまとめますと、「連帯保証人が以前に比べて優遇される形」となりました。
特に限度額が設定されたことにより、大きく連帯保証人が保護される形となったことは非常に良い点なのかなと筆者は感じます。
また、民法改正による連帯保証人に関しては下記の記事が非常に分かりやすく参考になります。
まとめ
今回は賃貸契約の連帯保証人について詳しく解説いたしました。
想像よりも連帯保証人は責任が重いと感じられた方が多かったのではないでしょうか?
最近は連帯保証人を立てずに保証会社を利用する契約が一般的になったとはいえ、まだ連帯保証人が必須の物件も存在します。
そのような物件で契約をする際に、この記事を思い出していただけましたら幸いです。
皆様のより良いお部屋探しを心よりお祈り申し上げます。