「これから初めて賃貸の部屋探しを始めるけど…
おとり物件って何だろう?
おとり物件について詳しく知りたい!」
このような疑問にお答えします。
筆者は賃貸営業歴5年の賃貸営業マンです。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格も保有しています。
これから部屋探しを始める人が知っておきたいこととして、
「おとり物件」
が挙げられます。
お部屋探しを何度かされたことがある人には馴染みがある言葉かもしれませんが、これから初めてお部屋探しをされる人は、
「おとり物件ってなに??」
という人も少なくないでしょう。
そこで今回は賃貸物件のおとり物件について、
- おとり物件とは
- 存在する理由
- 見極め方
- 特徴
- 違法性・罰則
- 傾向
- 対策
上記7つの重要なポイントを詳しく解説していきます。
この記事をお読みいただくことで、おとり物件についてしっかり理解することができ、おとり物件に惑わされることはなくなりますよ!
おとり物件とは?
おとり物件とは、
「実際には存在しない架空の物件や、存在はするものの実際には取引することができない(成約済みなど)物件」
のことです。
おとり物件を細かく分けると下記の3つに分けられます。
- 成約済み物件の掲載を落とし忘れている
- 取引対象にならない物件を掲載
- 存在しない架空の物件を掲載
①は悪意のないものとなりますが、②③は完全に悪意がある悪質なおとり物件となります。
それぞれ詳しく解説をしていきます。
①成約済み物件の掲載を落とし忘れている
物件紹介をしている不動産会社に悪意がない場合でも、おとり物件のような形になってしまう場合があります。
それが、成約済み物件の掲載を落とし忘れてしまい、そのまま掲載が続いてしまっているケースです。
一般的に賃貸物件は下記の図のように、ひとつの物件に対して複数の仲介不動産会社が紹介できる仕組みとなっています。
各仲介不動産会社は都度、物件Aを管理している不動産会社に最新の空室状況や家賃などの情報を確認し、賃貸情報サイトへ最新情報を更新しなくてはなりません。
そのため、たとえば仲介不動産会社Dのお客様が物件Aの入居申し込みした場合、その瞬間に物件Aの募集は終了となるものの、「仲介不動産会社A.B.C」は物件Aを管理する不動産会社に最新の空室状況を確認するまでは物件Aの掲載を続けてしまうことになります。
この物件Aの募集が終了したタイミングで、お部屋探しユーザーが仲介不動産会社Bに物件Aをお問い合わせすると、
「こちらの物件は先ほど募集が終了してしまいました」
となり、悪意はないものの結果としておとり物件のような形になってしまうという訳です。
上記のケースは賃貸情報サイトの性質上ある程度は仕方がないとはいえ、このようなタイムラグが少しでも少なくなるように努力する必要があると言えます。
【賃貸物件】入居が決まったのに掲載されてる?掲載終了のタイミングは?
②取引対象にならない物件を掲載
すでに成約済みと把握しながら掲載を続けたり、実際に物件は存在するものの、貸し出すつもりのない物件や入居中の物件などを掲載している悪徳業者も存在します。
③存在しない架空の物件を掲載
また、実際に存在しない架空の物件を掲載している不動産会社も存在するようです。
筆者が勤めている不動産会社では、広告掲載に関してかなり慎重に注意して掲載していますが、実際に②③のような悪徳業者が存在することには驚きですね。
おとり物件はなぜ存在するのか
おとり物件が存在する理由は、
おとり物件を掲載することで、お部屋探しユーザーを釣り出せる(来店させられる)可能性があるからです。
そのため、おとり物件は「釣り物件」なんて言われ方もしますね。
契約できないおとり物件で来店させて、自分たちが紹介したい物件を紹介するのがおとり物件の手口です。
おとり物件の流れ・手口
具体的におとり物件の流れは以下のとおりとなります。
- お部屋探しユーザーがおとり物件をお問い合わせ
- 不動産会社が空室であることを伝え、来店を促す
- 来店したら問い合わせ物件は終了したと言われ、別の物件を紹介される
それぞれ解説していきます。
①お部屋探しユーザーがおとり物件をお問い合わせ
まずはお部屋探しが賃貸情報サイトで物件を検索し、おとり物件を掲載している不動産会社にお問い合わせをしてしまいます。
②不動産会社が空室であることを伝え、来店を促す
まだ空室であると伝えて、お部屋探しユーザーを来店へと促します。
③来店したら問い合わせ物件は終了したと言われ、別の物件を紹介される
そしてお部屋探しユーザーが来店すると、
「すみません…先ほど物件が終わってしまいまして…」
といった感じで別の物件を紹介する形が一般的なおとり物件の流れ・手口となります。
おとり物件の見極め方
正直、100%おとり物件を見極めるのは難しいです。
それでもおとり物件に引っかからない見極め方はある程度存在します。
- 現地集合の内見をお願いする
- 複数の不動産会社に物件を確認してみる
それぞれ解説していきます。
現地集合の内見をお願いする
上記で解説させていただいたとおり、おとり物件は、
来店させて別の物件を紹介して契約させる
手口が一般的となります。
そのため、おとり物件を掲載している悪徳業者は現地集合の内見を嫌う傾向にあります。
そもそも実際に存在しない架空の物件だった場合は、現地に集合することすらできませんからね。
また、近年はコロナウイルスの影響によって現地集合の内見に積極的な不動産会社も増えていますので、現地集合の内見を断られてしまうのは結構怪しいです。
「なんだか少し怪しい…おとり物件かもしれない…」
と感じた物件に関しては一度現地集合の内見をお願いしてみると良いでしょう。
複数の不動産会社に物件を確認してみる
また、おとり物件の可能性があると感じたら、その物件を別の不動産会社に確認してみるのも良いです。
「そんな物件聞いたことありませんね」
とか、
「その物件はもうとっくに募集終了していますよ」
なんてことになるかもしれません。
ですので、その他の不動産会社に複数確認することで、おとり物件を見極められる可能性が高まります。
おとり物件の特徴
さらにおとり物件の特徴も把握しておくことで、おとり物件に引っかかってしまう可能性を下げることができます。
- 好条件な物件
- 長期間掲載されている物件
- 住所が不透明
- 一社しか掲載していない
上記4つの特徴を一つひとつ解説していきます。
①好条件な物件
おとり物件はそもそも、
「お部屋探しユーザーを釣らなくてはいけない」
ので、好条件な物件が多いです。
もちろん好条件な物件でも、おとり物件ではない良質な物件情報も出ていますが、
「あまりに好条件すぎる物件」
に関しては、少しおとり物件を疑った方が良いかもしれません。
②長期間掲載されている物件
また、長期間掲載されている物件にも注意が必要です。
単純に条件が悪く入居が決まっていない物件もたくさんあると思いますが、
取引の意志がない(取引できない)おとり物件である可能性も考えられます。
特に①の好条件な物件で、かつ長期間掲載されている物件は要注意です。
③住所が不透明
実際に存在しない架空の物件の場合、住所が記載されないことがほとんどです。
そのため住所が不透明な物件には注意が必要と言えます。
とはいえ、オーナーや管理会社の意向で住所を公開していない場合もありますので、住所が記載されていない=おとり物件であるというわけではありません。
④一社しか掲載していない
さらに、一社しか取り扱いがなく、その不動産会社しか掲載していない物件にも注意が必要です。
すでに成約済みとなっている物件の掲載を落とさずに延々と掲載されている場合も考えられますし、架空の物件である可能性も十分考えられます。
反対に多くの不動産会社が掲載している物件であれば、おとり物件である可能性は低いと言えますね。
以上4つのおとり物件の特徴をお伝えしましたが、
好条件な物件で長期間掲載されており、住所が不透明で一社しか掲載していない
①~④に全て当てはまる物件があるとしたら、かなりおとり物件である可能性が高いと言えるでしょう。
おとり物件は違法となり、違法業者は罰則が課せられる
おとり物件は、「景品表示法」や「宅地建物取引業法」に反する違法行為です。
違反した不動産会社にはさまざまな罰則が課せられるようになっています。
また、公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会に設置されている、
- アットホーム株式会社(アットホーム)
- 株式会社CHINTAI(CHINTAI)
- 株式会社LIFULL(ホームズ)
- 株式会社リクルート(スーモ)
からなるポータルサイト広告適正化部会では、公正取引協議会から警告及び違約金課徴となった不動産会社に対して、4社ポータルサイトへの広告掲載を1ヶ月以上停止する形を取っています。
実際におとり物件だけではなく、インターネットへの広告掲載全体に対して年々厳しくなっていますね。
おとり物件は減少傾向にある
上記のような罰則もあり、おとり物件は減少傾向にあります。
実際に2020年4月24日にポータルサイト広告適正化部会にて発表された、
では、おとり広告の件数は前年と比べて全国で-355件となっています。
出典:ポータルサイト広告適正化部会
地域によって増加している箇所もあるとはいえ、全体で見れば2018年に比べて2019年の方が大幅におとり広告件数が少なくなっていることが分かります。
追記:2020年度はおとり広告がさらに減少
さらに2021年4月20日に発表された、
では、2019年度に比べて-1,286件も減少しています。
出典:ポータルサイト広告適正化部会
特に大きく減少した都道府県は、
- 大阪府-372件
- 兵庫県-190件
- 東京都-148件
- 福岡県-111件
- 愛知県-90件
となっています。
全てのおとり広告を排除するまでにはまだ時間は掛かりそうですが、年々おとり広告件数が減っていき、お部屋探しユーザーが安心してお部屋探しできる環境ができれば素晴らしいことですね。
AI機能でおとり物件を削減している賃貸アプリ
また、
「おとり物件に惑わされたくない!」
という人には、AI機能でおとり物件を大幅削減している賃貸アプリサービス「カナリー」がおすすめです。
カナリーはAI機能によるおとり物件を大幅削減しているだけではなく、
- 大手賃貸情報サイトを網羅して物件数が豊富
- アプリ内で内見予約まで完結
- App Storeレビュー★4.8
上記のようなメリットもあります。
アプリサービスの利用は無料ですので、よろしければ一度カナリーを利用してみてください。
さらに詳しくカナリーを知りたい人は下記の記事もチェック!
まとめ
今回はおとり物件に関して7つの重要ポイントを詳しく解説いたしました。
おとり物件は賃貸情報サイトの性質上、悪意がなく仕方がないものもあり、完璧に見抜くことは困難です。
しかし、今回お伝えした
「おとり物件の見極め方やおとり物件の特徴」
をしっかり把握していただくことで、おとり物件に引っかかってしまう可能性を少なくできるはずです。
皆様のより良いお部屋探しを心よりお祈り申し上げます。