「現在部屋探しをしているけど…賃貸の初期費用って想像以上に高い。
フリーレントを付けれれば初期費用を安くできるけど、交渉次第ではフリーレントを付けることはできるのかな?」
このような疑問にお答えします。
筆者は賃貸営業歴5年の賃貸営業マンです。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格も保有しています。
賃貸の初期費用は高いですよね。
基本的には賃料の4か月分~6か月分ほど掛かる物件が多く、たとえば賃料の7万円の物件の場合、約30万円~40万円ほどの初期費用となります。
そんな高額となる初期費用を安く抑える方法の一つとして主流なのがフリーレントです。
実際に初期費用の割引キャンペーンとしてフリーレントが付いている物件もよく見かけますね。
今回の記事では、
「もともとフリーレントが付いていない物件でのフリーレント交渉7つのポイント」
を詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしていただき、あなたのお部屋探しのお力になれましたら幸いです。
フリーレントとは
まずはフリーレントについて改めて解説をしていきます。
フリーレントとは契約開始日からの家賃を一定期間無料にしてくれるサービスのことを言います。
フリーレントの期間は1か月が基本ですが、中には2か月間フリーレントとなる物件もあります。
また反対に、半月フリーレントや一週間のみフリーレントといったように短い期間のフリーレントが付いている物件もあります。
フリーレントとは一般的に「賃料のみ」に適応されることが多く、「共益費・管理費」はフリーレントの対象外となりますが、中には共益費や管理費もフリーレントの対象としてくれる不動産会社も存在します。
なぜフリーレント物件があるのか
フリーレントを付けることで、入居者が契約時に支払う前家賃、入居後に支払う家賃の負担を軽くできます。
入居者の負担を軽くできれば競合物件と差別化ができるので入居促進につながりますね。
ですのでフリーレントが付いている物件は、管理会社やオーナーが力を入れて入居させたい物件ということになります。
特に入居がなかなか決まらない物件や、7月・8月などの閑散期にフリーレントが付く物件が多くなります。
フリーレントの良い点
フリーレントの良い点はおもに下記の3つです。
- 初期費用を安くできる
- 二重で賃料を支払う期間がなくなる
- ゆとりある引っ越しが可能
それぞれ解説していきます。
1.初期費用を安くできる
フリーレントの最大のメリットは初期費用を安く抑えられることです。
賃貸の初期費用は何かと高額なりやすいので、1か月分のフリーレントが付くだけでも初期費用を大きく抑えることができます。
また、見方によっては月額賃料を抑えることができたとも見れます。
たとえば賃料6万円でフリーレント1か月の場合、1年間限定で月額賃料5,000円OFFと同じ金額となります。
2.二重で賃料を支払う期間がなくなる
現在も賃貸物件にお住まいの方が新しく賃貸物件へお引越しされる場合、契約開始のタイミング次第では現在の賃料と新しい賃貸物件の賃料の支払いが重なってしまうことも多いです。
一般的に退去申請から1か月間は賃料が発生する不動産会社がほとんどで、入居申込から二週間~1か月以内に契約開始となる不動産会社がほとんどです
ですがフリーレントを利用することにより契約期間が重なっても賃料の支払いが重なることがないので、無駄な賃料を支払わずにすみます。
上記の例であれば、10月14日までは実際に賃料が発生することはありませんので、二重で賃料を支払わずにすみますね。
3.ゆとりある引っ越しが可能
さらにフリーレント期間があることにより契約開始日を早めて、少しずつ荷物を運んだり、ゆっくり引っ越し業者を手配できたりゆとりある引っ越しも可能になります。
先ほどの例であれば実際に入居開始をしたい日が10月1日であっても、9月15日から新しい物件の鍵を受け取れるので、
「引っ越し業者を使わずに少しずつ荷物を運んじゃおう!」
ということもできますね。
フリーレントが付いている物件の注意点
入居者にとってプラスとなるフリーレントですが、注意点もあります。
- 短期違約金が発生しやすい
- 賃料が相場よりも高く設定されている可能性がある
- 大きなデメリットを抱えている物件の可能性がある
こちらもそれぞれ解説していきます。
1.短期解約違約金が発生しやすい
初期費用の入居者負担を軽くしている分、やはり管理会社やオーナー側は長く入居してもらいたいところです。
そのため「短期解約違約金」が付く物件が多いです。
短期解約違約金とは「指定した期間内に退去した場合に違約金を支払う」というものです。
基本的には「1年未満の解約で総賃料の1か月分」が相場ですが、中には2年未満の解約や総賃料の2か月分となる短期違約金もありますので、しっかり事前に確認するようにしましょう。
2.賃料が相場よりも高く設定されている可能性がある
フリーレントで初期費用を安くして入居の入り口を広くしておき、相場よりも高めの賃料設定にしてその分を回収するという物件も少なからず存在します。
フリーレント付きという言葉に惑わされず、賃料相場などもしっかり確認してお部屋探しを進めていきましょう。
3.大きなデメリットを抱えている物件の可能性がある
フリーレントが付いている物件は、
- 駅から遠い
- 騒音トラブルが多い
- 日当たりが悪い
など…「人気がなく入居がなかなか決まらない物件」であることが多いです。
ですので、「なぜフリーレントを付けて安くしてくれるのか」という理由をしっかり確認しておいた方が良いでしょう。
フリーレントが付いていない物件でも交渉できる
フリーレントが付いていない物件でも、交渉次第ではフリーレントを付けることができるケースもあります。
もちろんどんなに上手に交渉を持ちかけても絶対に無理な物件もあります。
しかし交渉自体はタダですので、たとえ新築の物件であってもダメもとで交渉してみた方が良いです。
フリーレント交渉の成功率を高める7つのポイント
ではフリーレントが付いていない物件でもフリーレントを付けるにはどうすればよいのか。
フリーレント交渉の成功率を高める7つのポイントをまとめました。
- 入居意思を明確にする
- ベテラン・デキる営業マンに担当をお願いする
- 営業マンと良好な関係を築く
- 閑散期に部屋探しをする
- 契約開始日を早くする
- 家賃を上げる相談をする
- 短期違約金を設定する
7つのポイントの中でも最も重要なポイントは1つめの入居意思を明確にすることです。
というよりも、入居意思を明確にしなければフリーレント交渉を成功させることはかなり難しいと思っていただいた方が良いでしょう。
まずは入居意思を明確にして、残りの6つのポイントを付け加えていく感じです。
それでは下記より7つのポイントを一つひとつ詳しく解説していきます。
1.入居意思を明確にする
上記でもお伝えしたとおり、フリーレント交渉を成功させるには入居意思を明確にすることが最も重要なポイントとなります。
たとえば不動産屋に来店していきなり「フリーレントの交渉」を持ちかけられても営業マンとしては管理会社やオーナーに交渉の仕様がありません。
物件が決まるかどうかも分からない状況でフリーレント交渉をしたところで、管理会社やオーナーは全く相手にしてくれないです。
フリーレント交渉に限らず、すべての交渉ごとに言えることですが、相手方にもメリットを与えてあげることで交渉成功率は高まります。
担当の賃貸営業マン=入居申し込みが欲しい
管理会社(オーナー)=空室を埋めたい
それぞれ上記の希望を持っているので、
「フリーレントが付けばこの物件に決めます」
という入居希望者側が入居意思を明確にすることによって、相手方にもフリーレント交渉を通すメリットが生まれます。
管理会社(オーナー)としては、
「今回の入居決定チャンスを逃したら長期で空室となってしまう事が怖い」
ですし、担当の営業マンは、
「入居申し込みがもらえるなら」
と、全力で管理会社(オーナー)にフリーレント交渉をしてくれることでしょう。
2.ベテラン・デキる営業マンに担当をお願いする
フリーレント交渉は入居希望者が管理会社(オーナー)に直接お願いをするのではなく、仲介不動産会社の担当営業マンが管理会社やオーナーにフリーレント交渉を持ち掛けます。
そのため、担当営業マンと管理会社(オーナー)の信頼関係もフリーレント交渉の成功率に大きく関わってきます。
たとえば管理会社やオーナーに顔が知れているベテラン営業マンや、契約を取りまくるデキる営業マンは管理会社やオーナーに信頼されていることが多いです。
「○○さんにはいつもお世話になってるからフリーレント付けていいですよ」
「○○さんのお客さんなら信頼できそうだしいいですよ」
上記のような感じで、ベテラン営業マンやデキる営業マンが担当者になってくれるとフリーレント交渉などが上手くいき、お得に契約できる可能性が高くなります。
3.営業マンと良好な関係を築く
フリーレント交渉は入居者が直接行うものではなく、担当者の営業マンが管理会社やオーナーに交渉を持ち掛けます。
つまり、担当の営業マンと良好な関係を築くこともフリーレント交渉の成功率を高めるポイントになります。
営業マンも人間ですから、良いお客様であれば交渉事も全力でサポートしてくれますが、態度が悪いようなお客様に全力でサポートすることは難しいでしょう。
担当の営業マンと良好な関係を築ければ、費用面だけではなくすべての面において有利に賃貸契約を結ぶことができるはずです。
4.閑散期に部屋探しをする
賃貸仲介の市場には閑散期があります。
もっとも閑散期となる7月8月にお部屋探しすることで、フリーレント交渉の成功率は高まります。
この時期は入居希望者が少なく、管理会社やオーナーも長期空室リスクを恐れるためです。
ですので、お部屋探しの時期をずらせるようなら閑散期に部屋探しをすることでお得に契約できる可能性は高まります。
5.契約開始日を早くする
契約開始日を早くする(即入居する)ことも管理会社やオーナーのメリットになります。
ですので、即入居が可能な人は、
「入居意思を明確にする+即入居できる」
上記の点をしっかり伝えることでフリーレント交渉の成功率を高めるができるでしょう。
6.家賃を上げる相談をする
家賃を上げる相談をしてフリーレントを勝ち取る方法もあります。
たとえば賃料10万円の物件に対して、
「家賃を2,000円上げても構いませんので、フリーレント1か月付けてもらえませんか?」
という交渉をしてOKをもらえた場合、フリーレント1か月分で初期費用を10万円安くできます。
毎月の家賃が2,000円上がる損はあるものの、
2年間住んで合計52,000円お得
4年間住んで合計4,000円お得
となり、4年以内には退去する予定であれば最終的にお得に契約することができます。
7.短期違約金を設定する
長期間の入居を予定している人は短期違約金を提案することもおすすめです。
「短期違約金を付けて構いませんので、フリーレント1か月を付けていただくことはできますか?」
とフリーレント交渉を持ち込めば、ただ入居意思を明確にするよりも成功率は当然高まります。
7つのポイントを満たせば満たすほど成功率は高まる
上記でお伝えした成功率を高める7つのポイントは全て重複可能です。
7つのポイントを満たせば満たすほど、フリーレント交渉を高めることができます。
閑散期にベテラン営業マンを担当者にして良好な関係を築き、入居意思を明確にして「即入居+家賃上げ+短期違約金設定」でフリーレント交渉をする…
ここまで条件を満たすのは難しいですが、2つ3つのポイントを満たすことは難しくありません。
ぜひ参考にしていただき少しでもお得に契約をしていただければ幸いです。
成功率を高めるフリーレント交渉の具体例
ここではさらに深掘りして成功率を高めるフリーレント交渉の具体例をご紹介します。
もちろん成功率を高めるには入居意思を明確にする必要がありますので、フリーレント交渉のタイミングは内見後など最終段階に入った時です。
フリーレント以外に交渉しやすいのは礼金
賃貸の初期費用でフリーレント以外に交渉しやすいのは礼金です。
礼金はオーナーにお礼金として入るお金であり、賃貸契約では無くても問題ないお金です(損するのはオーナーだけ)
そのためオーナーが折れてくれさえすれば外すことができる費用となるので、初期費用の項目の中でもっとも交渉しやすい費用となります。
とはいえ、礼金の交渉をしてさらにフリーレントの交渉もするのはかなり厳しいです。
基本的にはどちらか片方だけ、賃料の1か月分の値引きが限界と言えるでしょう。
関連記事>>礼金交渉で失敗しない4つのコツ!【賃貸営業マンが教えます】
仲介手数料の割引交渉はあまりおすすめできない
仲介手数料の割引交渉をしたがる方も多いですが、仲介手数料の場合は担当の営業マン(仲介不動産会社)が割引分を負担しなければなりません。
そのためあまりしつこく仲介手数料の割引交渉を行うと、担当営業マンとしても良い気分にはならないでしょう。
担当営業マンに嫌われてしまうと、結果として通るはずだった礼金やフリーレント交渉まで通りづらくなります。
ですので筆者は仲介手数料の割引交渉に関してはあまりおすすめをしていません。
関連記事>>仲介手数料の値下げ交渉は可能?7つのコツと3つのおすすめしない理由
仲介手数料を抑えたい場合はもともと安い不動産会社への来店が良し
仲介手数料の値引きは、礼金交渉やフリーレント交渉に比べてかなりハードルが高いです。
ですので、仲介手数料を抑えたい場合は、もともと仲介手数料が安い不動産会社へ来店することが望ましいです。
仲介手数料が安い不動産会社を紹介している詳細記事もございますので、よろしければ参考にご覧ください。
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家賃の値下げよりもフリーレント交渉の方が成功しやすいし、お得になりやすい
また、家賃の値下げよりもフリーレント交渉の方が成功しやすいですし、お得になりやすいです。
もちろん物件や家賃の金額にもよりますが、基本的に家賃の値下げに成功しても1,000円~3,000円が限界です。
5,000円値下げされることはほとんどなく、それならばフリーレント1か月をもらった方がお得になるケースが多いでしょう。
また、家賃を下げてしまうと、同じマンションの入居者から値下げ交渉が入る恐れがあり管理会社やオーナーとしては家賃の値下げはしづらいという理由から、フリーレント交渉の方が成功しやすいです。
フリーレント交渉に失敗してしまったら
「頑張ってフリーレント交渉をしてみたけどダメだった…」
フリーレント交渉は100%成功できる訳ではありません。
新築物件や人気の物件ではどんなに上手に交渉を持ち掛けても絶対に断られてしまう物件もあるでしょう。
ここではフリーレント交渉に失敗してしまった場合について解説していきます。
即入居・家賃上げ・短期違約金を提案
7つのポイントと被ってしまいますが、追加で即入居・家賃上げ・短期違約金を提案してみるのも一つです。
これらは契約開始日が早くなってしまったり、家賃が上がってしまったり、短期違約金が付いてしまうなどのデメリットも存在しますが、それはつまりオーナーからすればメリットとなります。
追加で提案することでフリーレントの承諾を得られる可能性はあります。
短い期間のフリーレント交渉をしてみる
フリーレントの期間は半月・2週間・10日・1週間などかなり細かく設定することもできます。
例えば9月27日からの契約開始の場合、27日から30日の4日間のフリーレントもアリな訳です。
「1ヶ月のフリーレントは断られてしまいましたが、2週間のフリーレントのOKは出ました」
など…1ヶ月まるまるのフリーレントは厳しくても、短期間のフリーレントのOKが出ることもあります。
日割り家賃を調整して初期費用を抑える
フリーレント交渉に失敗しても日割り家賃を調整することで初期費用を抑えることができます。
初期費用で支払う前家賃(日割り家賃)は不動産会社によってそれぞれ決まりがありますが、たとえば契約開始月と翌月分の家賃を初期費用で支払う決まりとなっている不動産会社の場合、
★10月1日から契約開始(賃料70,000円)
10月分家賃 | 70,000円 |
11月分家賃 | 70,000円 |
前家賃だけで14万円も初期費用で支払わなければいけなくなります。
このような不動産会社の場合は、契約開始日を月末とすることで初期費用で支払う前家賃を抑えることができます。
仮に10月31日からの契約開始とすると、
★10月31日から契約開始(賃料70,000円)
10月分家賃 | 2,258円 |
11月分家賃 | 70,000円 |
約7万円も初期費用を抑えることができます。
初期費用が安くなったわけではありませんが、まとまったお金を少しでも抑えたい場合には契約開始日を調整することも有効です。
また、不動産会社によって前家賃をどのように支払うかは異なるので、最も前家賃を抑えられる方法を担当の営業マンに確認してもらうのが一番良いでしょう。
まとめ
今回はフリーレント交渉について成功率を高める7つのポイントを中心に詳しく解説をいたしました。
フリーレント交渉は礼金交渉に次いで割引しやすい初期費用の値下げ交渉となります。
改めてフリーレント交渉の成功率を高める7つのポイントをまとめますと、
- 入居意思を明確にする
- ベテラン・デキる営業マンに担当をお願いする
- 営業マンと良好な関係を築く
- 閑散期に部屋探しをする
- 契約開始日を早くする
- 家賃を上げる相談をする
- 短期違約金を設定する
上記のとおりとなります。
中でも最も重要なポイントは1つめの入居意思を明確にすることとなります。
ぜひ当記事を参考に少しでも安く初期費用を抑えられましたら幸いです。
皆様のより良いお部屋探しを心よりお祈り申し上げます。