「部屋探しをしているけど…
気になっている物件は家賃予算を少しオーバーしている…
賃貸物件の家賃交渉って可能?
どのくらい家賃は下がる?」
このような疑問にお答えします。
筆者は賃貸営業歴5年の賃貸営業マンです。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格も保有しています。
賃貸物件をお探しの方の中には家賃交渉について疑問をお持ちの方や実際に家賃交渉をしたい方もいらっしゃると思います。
家賃は初期費用と違って一時的な費用ではなく毎月発生する費用となり、生活費の大きな負担となります。
毎月の固定費となる家賃は少しでも下げたいですよね。
賃貸物件の家賃は上手に値下げ交渉することで下げられることがあります。
そこで今回は1000件以上契約を結んできた賃貸営業マンの経験談も踏まえて家賃交渉について詳しく解説をしていきます。
いくらくらい下がる?
交渉のコツは?
交渉タイミングや言い方は?
上記のような疑問をお持ちの方はぜひ最後までご覧いただけましたら幸いです。
賃貸の家賃交渉は可能
「そもそも賃貸物件の家賃って値下げ交渉できるの?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
結論としては賃貸物件の家賃交渉は可能です。
ただしすべての物件で家賃交渉が通る訳ではありません。
たとえば新築物件や人気物件では家賃交渉が通る可能性は低くなりますし、反対になかなか入居者が付かず苦戦している物件などは家賃交渉が通りやすくなります。
特に詳しいデータがあるわけではありませんが、家賃交渉が通る可能性としては筆者の体感として2割から3割前後かなと思います。
いくら下がる?家賃交渉の相場と筆者の経験談
では家賃交渉が成功した場合、どのくらいの家賃が下がるのか。
下がる金額に関しても「物件による」という結論になりますが、多くの物件は1000円から3000円の家賃の値下げとなるでしょう。
5000円や1万円の家賃の値下げを期待する人も少なくないと思いますが、ここまで家賃が下がる可能性はかなり低いです。
とはいえ、もともとの家賃が10万円以上の物件では5000円や1万円下がることもあります。
そのため家賃交渉の相場はもともとの家賃によってもいくら下がるかが大きく変わり、家賃に対する割合でいうと家賃の5%ほどとなります。
たとえば家賃6万円の物件で5%の値下げ金額は3000円となりますので、やはりこのあたりが家賃交渉の相場と言えるでしょう。
また、下記では実際に筆者が高額な値下げ交渉に成功した事例を2つご紹介いたします。
【筆者の経験談1】家賃6万円の物件で5000円の値下げ交渉に成功
一つ目の高額な値下げ交渉の成功事例としては家賃60000円→55000円に下げられたケースです。
これは筆者が新人の賃貸営業マンだった頃のお話で、家賃が予算オーバーで決めきれなかったカップルに苦戦していた時でした。
後ろからスッと上長がサポートで付いてくれて、そのカップルが家賃が高くて決めきれないことを確認すると、管理会社の担当者に家賃交渉をしてくれました。
上長「○○物件で検討されているお客様がいらっしゃるんですが、家賃5000円下げたりできます?」
その結果、なんと5000円の家賃値下げに成功。
カップルの悩みの種であった家賃の予算をクリアして即入居申し込みとなりました。
実は上長はその管理会社の担当者とかなり上手に信頼関係を築けており、その結果が5000円という高額な家賃交渉の成功に繋がりました。
仮に上長ではなく当時新人だった筆者が交渉を持ち掛けていたら5000円の値下げは到底できなかったでしょう。
とはいえ、上長も「まさか5000円も下げれるとは思わなかった。とりあえず5000円で交渉を持ち掛けて2000円3000円くらいの値下げを狙ってたんだけどね」
ということでした。
また、その物件は駅から徒歩20分で遠い点や、7月の閑散期での部屋探しという点も家賃交渉の成功に繋がった要因だったと考えられます。
【筆者の経験談2】家賃11万円の物件で1万円の値下げに成功
二つ目の高額な値下げ交渉の成功事例は家賃11万円→家賃10万円に下げられたケースです。
「家賃が1万円下がれば即決なんだけどなぁ~厳しい?」
内見を終えて最終検討段階に入ったお客様から家賃交渉が入りました。
「1万円の値下げは厳しいかもしれませんが、5000円くらいの値下げは可能かもしれません」
その物件は築40年以上の一戸建ての賃貸物件で半年間空室が続いている物件だったため、オーナーとしても家賃を下げてでも決めてほしい気持ちが強いのではと筆者は考えていました。
「家賃を1万円値下げしてくれれば入居したいとおっしゃっているお客様がいらっしゃいますが、いかがですか?」
上記のようにオーナーへ家賃交渉のご連絡。
1万円という値下げ金額にかなり渋ってはいたものの、やはり空室をこれ以上長引かせたくないという思いもあるようでした。
「ひとまずは入居申し込み書を送ってよ。保証会社の審査に通るかも分からないし。審査に通ったら家賃の値下げも検討するよ」
という返答だったので、お客様にはその旨を説明し、ひとまずは入居申込書の記載と身分証明書のコピーを頂いてオーナーへ送付。併せて家賃保証会社の審査にもかけました。
家賃保証会社の審査は即日で承認の結果が出て、オーナーに審査がOKになったことをご報告すると…
「入居希望の○○さんって、たぶん知り合いだと思うんだよね~。○○さんに入居してもらえるなら家賃1万円値下げでいいよ!」
まさかのオーナーと入居希望者が知り合いのパターンで高額な家賃値下げが成功しました。
上記の例はかなりレアケースですが、半年間空室となっていた点や、こちらも7月の閑散期での部屋探しという点も家賃交渉の成功の要因だったでしょう。
家賃交渉を成功させる7つのコツ
家賃の値下げは上手に交渉することで成功率を高めることができます。
家賃交渉を成功させるには、
- 入居意思を明確にする
- ベテラン・デキる営業マンに担当をお願いする
- 営業マンと良好な関係を築く
- 閑散期に部屋探しをする
- 値下げ金額は家賃5%を目安にする
- 契約開始日を早くする
- 短期違約金を設定する
上記7つのコツが挙げられます。
それぞれひとつずつ解説していきます。
1.入居意思を明確にする
家賃交渉を成功させるには入居意思を明確にすることが最も重要なポイントとなります。
たとえば不動産屋に来店していきなり「家賃交渉」を持ちかけられても営業マンとしては管理会社やオーナーに交渉の仕様がありません。
物件が決まるかどうかも分からない状況で家賃交渉をしたところで、管理会社やオーナーは全く相手にしてくれないです。
家賃交渉に限らず、すべての交渉ごとに言えることですが、相手方にもメリットを与えてあげることで交渉成功率は高まります。
担当の賃貸営業マン=入居申し込みが欲しい
管理会社(オーナー)=空室を埋めたい
それぞれ上記の希望を持っているので、
「家賃が下がればこの物件に決めます」
という入居希望者側が入居意思を明確にすることによって、相手方にも家賃交渉を通すメリットが生まれます。
管理会社(オーナー)としては、
「今回の入居決定チャンスを逃したら長期で空室となってしまう事が怖い」
ですし、担当の営業マンは、
「入居申し込みがもらえるなら」
と、全力で管理会社(オーナー)に家賃交渉をしてくれることでしょう。
2.ベテラン・デキる営業マンに担当をお願いする
家賃交渉は入居希望者が管理会社(オーナー)に直接お願いをするのではなく、仲介不動産会社の担当営業マンが管理会社やオーナーに家賃交渉を持ち掛けます。
そのため、担当営業マンと管理会社(オーナー)の信頼関係も家賃交渉の成功率に大きく関わってきます。
たとえば管理会社やオーナーに顔が知れているベテラン営業マンや、契約を取りまくるデキる営業マンは管理会社やオーナーに信頼されていることが多いです。
まさに先ほどご紹介した筆者の経験談のとおりですね。
「○○さんにはいつもお世話になってるから家賃下げっちゃっていいですよ」
「○○さんのお客さんなら信頼できそうだしいいですよ」
上記のような感じで、ベテラン営業マンやデキる営業マンが担当者になってくれると家賃交渉などが上手くいき、お得に契約できる可能性が高くなります。
3.営業マンと良好な関係を築く
家賃交渉は入居者が直接行うものではなく、担当者の営業マンが管理会社やオーナーに交渉を持ち掛けます。
つまり、担当の営業マンと良好な関係を築くことも家賃交渉の成功率を高めるポイントになります。
営業マンも人間ですから、良いお客様であれば交渉事も全力でサポートしてくれますが、態度が悪いようなお客様に全力でサポートすることは難しいでしょう。
担当の営業マンと良好な関係を築ければ、費用面だけではなくすべての面において有利に賃貸契約を結ぶことができるはずです。
4.閑散期に部屋探しをする
賃貸仲介の市場には閑散期があります。
もっとも閑散期となる7月8月にお部屋探しすることで、家賃交渉の成功率は高まります。
この時期は入居希望者が少なく、管理会社やオーナーも長期空室リスクを恐れるためです。
ですので、お部屋探しの時期をずらせるようなら閑散期に部屋探しをすることでお得に契約できる可能性は高まります。
5.値下げ金額は5%を目安にする
家賃の値下げ金額を高く設定し過ぎると交渉は失敗してしまうでしょう。
家賃の値下げ金額は家賃の5%を目安に、2000円3000円前後で設定すると良いです。
7.短期違約金を設定する
長期間の入居を予定している人は短期違約金を提案することもおすすめです。
「短期違約金を付けて構いませんので、家賃を下げていただくことはできますか?」
と家賃交渉を持ち込めば、ただ入居意思を明確にするよりも成功率は当然高まります。
7つのポイントを満たせば満たすほど成功率は高まる
上記でお伝えした成功率を高める7つのポイントは全て重複可能です。
7つのポイントを満たせば満たすほど、フリーレント交渉を高めることができます。
閑散期にベテラン営業マンを担当者にして良好な関係を築き、入居意思を明確にして「即入居+短期違約金設定」で家賃交渉をする…
ここまで条件を満たすのは難しいですが、2つ3つのポイントを満たすことは難しくありません。
ぜひ参考にしていただき少しでもお得に契約をしていただければ幸いです。
家賃交渉のベストなタイミング
家賃交渉を成功させるには上記でお伝えした7つのコツも重要ですが、家賃交渉を持ち掛けるタイミングも重要です。
家賃交渉のタイミングは入居申し込みの直前がベスト
先ほどの7つのコツでお伝えしたように、家賃交渉を成功させるには「入居意思を明確にする」ことが重要です。
つまり家賃交渉を行うベストなタイミングは入居申し込みの直前がベストとなります。
物件を複数検討し、実際に内見を終えて入居意思をしっかり固めた後で家賃交渉を持ち掛けることで、担当の営業マンも熱心に交渉してくれますし、オーナーも真剣に家賃の値下げを検討してくれるでしょう。
入居申し込み後や審査後の値下げ交渉はかなり厳しい
入居申し込み後や入居審査後に「やっぱり家賃を値下げしてほしい」という交渉はかなり成功率が下がります。
入居申し込み書を記入するということは現状の家賃などの条件で納得していることになるからです。
それでも全く成功しない訳ではないと思いますが、筆者の経験上、成功したことはありません。
契約後の値下げ交渉はほぼ不可能
契約後の値下げ交渉は入居申し込み後よりもさらに厳しくなります。
筆者は契約後の値下げ交渉をしたことはありませんが、無理に交渉すると貸主(管理会社やオーナー)から入居をお断りされる可能性も考えられます。
入居申し込み後や契約後の値下げ交渉はしないことをおすすめします。
家賃交渉の上手な言い方【具体例】
「実際に家賃交渉する時はどのような言い方をしたらいいの?」
このような疑問をお持ちの方も多いと思います。
あまり難しく考えず、下記のような形で家賃の値下げ交渉をすると良いです。
本日内見させてもらった○○マンションに決めようと思っていますが…
家賃が予算を超えてしまっていて決めきれません。
家賃が○○円下がれば○○マンションに決めますが家賃の値下げは可能ですか?
ポイントはやはり「家賃が下がれば○○マンションに決めます」という部分です。
しっかりと入居意思を明確にすれば担当の営業マンもオーナーや管理会社に家賃交渉しやすくなります。
また、7つのコツでもお伝えした、
家賃交渉に失敗してしまったら
どんなに上手に家賃交渉をしても、やはり家賃交渉に失敗してしまうことも多いです。
そんな時には家賃交渉ではなく、初期費用の値下げ交渉に切り替えることも有効となります。
たとえば家賃7万円の物件で1ヶ月分の初期費用を値下げできれば7万円節約できたことになりますが、これは家賃3000円値下げ×2年間入居もしくは家賃2000円値下げ×3年間入居(72000円節約)とほぼ同じとなります。
家賃交渉よりも初期費用の交渉の方が通りやすい物件が多いので、家賃交渉に失敗してしまったらぜひ初期費用の交渉もチャレンジしてみてください。
下記の記事では初期費用の交渉の仕方や初期費用を安く抑えるポイントを解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
・【成功率UP】初期費用や家賃の値下げ交渉術!賃貸営業マンが徹底解説!【交渉タイミングが大事】
・お金かかりすぎな賃貸のお引越し。初期費用を安く抑える7つの方法【賃貸営業マンが解説】
まとめ
今回は家賃交渉について詳しく解説いたしました。
賃貸物件の家賃交渉はすべての物件で通るわけではありませんが、成功率を高めるポイントを掴んで上手に交渉すれば家賃を下げられる物件もあります。
家賃交渉は決してかんたんではありませんが、当記事を参考にしていただきお得に契約を結んでいただけましたら幸いです。
皆様のより良いお部屋探しを心よりお祈り申し上げます。