「長年住んでいたアパートから立ち退きを命じられた…
高齢だが賃貸物件を借りられるだろうか?
高齢者の賃貸契約について詳しく知りたい」
このような疑問にお答えします。
筆者は賃貸営業歴5年の賃貸営業マンです。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格も保有しています。
高齢者社会が進んでいる昨今。
実際に高齢者の方で賃貸物件への入居を検討されている方もいらっしゃると思います。
しかし、現状の賃貸事情は高齢者の入居に対して非常に厳しいです。
今回は高齢者の方の賃貸契約について詳しく解説をしていきます。
- 高齢者は賃貸物件を借りられない?
- 高齢者が賃貸物件を借りるには?
- 高齢者が賃貸物件を借りる8つの方法
おもに上記3点について解説していきます。
ぜひこの記事を参考にしていただき賃貸物件をご検討いただけましたら幸いです。
高齢者は賃貸物件を借りられない?
まず結論から申し上げますと、
高齢者の方でも賃貸物件を借りる事ができます
しかし冒頭でもお伝えいたしましたとおり、高齢者が賃貸物件を借りることはかなり厳しい状況ではあります。
ではなぜ高齢者の方は賃貸物件を借りることが難しいのでしょうか?
下記からは高齢者の方が賃貸物件を借りることが難しい理由をお伝えしていきます。
高齢者が賃貸物件を借りることが難しい理由
高齢者が賃貸物件を借りることが難しい理由は大きく2つあります。
- 孤独死のリスク
- 家賃滞納リスク
ひとつひとつ解説していきます。
孤独死のリスク
高齢者が賃貸物件を借りられない最大の要因がこの「孤独死のリスク」です。
高齢者の単身世帯が孤独死をしてしまうケースは決して少なくありません。
孤独死の場合、死後から発見されるまで時間を要することが多く、物件の修繕費用・クリーニング費用で大きな費用が発生することになります。
それに加えて、次の入居募集で苦戦を強いられてしまうことにも繋がり、大幅に家賃を下げたり大幅なリフォームなどを打って募集強化をしなくてはならなくなります。
上記のようなリスクを背負ってまで、「高齢者の方の入居を受け入れたくない」と考えるオーナーや不動産会社が多いというのが現状です。
家賃滞納リスク
2つめは家賃滞納リスクです。
高齢者の方の中には、年金などの収入が少なく貯蓄も少ない方もいらっしゃいます。
親族の方で連帯保証人となれる方がいらっしゃれば良いのですが、連帯保証人を立てることが難しい高齢者の方も少なくありません。
このような高齢者の方が家賃を滞納してしまうと家賃の回収が困難になってしまいます。
孤独死のリスクに加えて、家賃滞納リスクもある高齢者を、快く受け入れてくれる不動産会社はどうしても少なくなってしまっています。
高齢者が賃貸物件を借りられない具体例
具体的に高齢者が賃貸物件を借りられない具体例を2つご紹介します。
80代女性「不動産屋6件に断られました」。高齢者の賃貸入居の今
SUUMOジャーナルの記事です。
88歳の母の部屋探しで6件の不動産屋に断られた娘様のインタビューとなっています。
家を探そうと思い、京都の不動産会社へ電話したところ、『88歳?その年齢では借りられませんよ』の一点張りで、驚きました」
もう1社に電話したところ同じような対応で、物件を紹介してもらえる様子はなかったという。「娘の私の年齢である60代でも貸せないくらいなのに、まして80代なんて……という対応でしたね」
そこでUさんは「何かあったらすぐに駆けつけられる私の家の近所であれば、可能性があるのでは」と考えて、母を説得。岐阜県内に呼び寄せることにした。
「自宅の近隣で、母の一人暮らしに良さそうな物件をインターネットで探し、不動産会社へ電話をしました。どの会社の担当者も母の年齢を話すと驚いていて、4社に『ご紹介できる物件はありません』と断られました」
引用:80代女性「不動産屋6件に断られました」。高齢者の賃貸入居の今
最終的にはニッショー不動産が提供する「ニッショー高齢者見守りサービス」というシニアライフサポートの加入を条件に高齢者でも入居できる物件で契約をすることができました。
もう一つの具体例は、
読売新聞オンラインの記事です。
こちらも単身70代の男性が収入があるにもかかわらず、賃貸物件を契約できない問題を取り上げています。
男性を救ったのは、緊急連絡先や保証人を確保できない高齢者の賃貸住宅入居を支援する「住まいサポートふくおか」だ。福岡市社会福祉協議会などが4年前に始めた。「見守り」や「死後の家財処分」など支援メニューを提案することで、協力店と呼ばれる不動産会社を通じて家主に理解を求める。同社協の栗田将行さんは「高齢者のバックアップ体制を築き、家主さんに安心してもらう狙いです」と話す。
4年間で約200件の入居につながり、協力店は約40社に増えた。
男性は、埋葬や家財の処分など死後の手続きを社協に任せる契約と、月1回の見守りサービスを利用することで、家賃3万8000円のワンルームを借りられた。「どうにか生きていける」と思った。
引用:単身70代 賃貸住宅を「貸せません」と言われて
最終的には「住まいサポートふくおか」という高齢者の賃貸住宅入居を支援するサービスを利用して入居ができたそうです。
また、この読売新聞オンラインの記事では他にも「見守っTELサービス」や「R65不動産」など、高齢者の賃貸住宅入居を支援するサービスや不動産会社も紹介されています。
高齢者が賃貸物件を借りるには?
[chat face=”50dansei.png” name=”” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]高齢者が賃貸物件を契約するにはどうしたらいいだろうか?
高齢者の方が賃貸物件を契約するには、
- 支援サービスがある賃貸物件を選択する
- 多くの不動産会社に相談する
先程の具体例の方のように、「高齢者の賃貸住宅入居を支援するサービス」がある賃貸物件を契約することが一番です。
しかし、このような支援サービスを受けることができる賃貸物件は決して多くありません。
また、お探しするエリアによっても大きく異なっていきます。
ですので「希望するエリアの多くの不動産会社に相談をする」ということも重要なポイントとなります。
特に支援サービスがない通常の賃貸物件でも、管理会社やオーナーが定めている条件をクリアすることで入居ができる物件もございます。
具体例として筆者の不動産会社の高齢者賃貸契約の条件をお伝えします。
年齢制限:なし。要相談(オーナーへ高齢者の単身入居の承諾必要)
入居審査:保証会社利用し入居審査あり
連帯保証人:要必須(できる限り近い場所にお住まいの方)
契約形態:本人契約(契約の際は連帯保証人の同席が必須)
筆者の不動産会社の場合は「保証会社と連帯保証人が必須」という条件となりますので、通常の契約と比べるとかなり厳しめです。
実際のところ、「オーナーから承諾をもらえる物件」はかなり少ないので、筆者の不動産会社は高齢者の方への賃貸契約はかなり少なめです。
条件的には厳しくはなりますが、特に支援サービスがない通常の賃貸物件でも契約が可能な場合があります。
「多くの不動産会社に相談をする」という点も、高齢者の方が賃貸契約を行ううえで大切になります。
高齢者が賃貸物件を借りる8つの方法
ここからは、支援サービスや高齢者の方の賃貸契約に積極的な不動産会社を8つご紹介いたします。
ひとつひとつのサービスが適応されるエリアは決して大きくはありませんが、全てのサービスを合わせることでご希望の物件が見つかるかもしれません。
ぜひ参考にご覧いただければと思います。
ニッショー高齢者見守りサービス
具体例のSUUMOジャーナルで紹介されていたサービスです。
公式サイトでは高齢者見守りサービスの「シニアライフサポート」に対応した賃貸物件を検索することができます。
対応エリアは愛知県・岐阜県・三重県の3県です。
上記3県でお探しの方はぜひご確認してみてください。
住まいサポートふくおか
具体例の読売新聞オンラインで紹介されていたサービスです。
65歳以上の方が受ける事ができるサービスで、さまざまな入居サポートを受けることができます。
福岡市内限定となりますので対応エリアは小さいですが、各自治体で同じようなサービスが展開されている可能性もあります。
不動産会社だけではなく、各自治体のサービスを調べてみるのもひとつの手です。
R65不動産
こちらも読売新聞オンラインで紹介されていたサービスです。
関東圏を中心に65歳以上の方が利用できる不動産会社となっています。
通常の賃貸物件からサービス付き高齢者向け住宅まで幅広く紹介されています。
ビレッジハウス
ビレッジハウスは高齢者の方でも入居相談が可能な不動産会社です。
「敷金・礼金・仲介手数料・更新料なし」
初期費用が圧倒的に安く、家賃も安いので費用面を抑えたい高齢者の方にもおすすめです。
対応エリアは全国ですので幅広いエリアで対応可能となっています。
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ビレッジハウスの詳細記事>>
・【ビレッジハウス全1065物件】全国47都道府県別の平均家賃や間取りを徹底解説!
・【初期費用5万円以下】家賃も格安なビレッジハウスの重要な10のポイント!
レオパレス
レオパレスも高齢者の方の入居に積極的な不動産会社です。
全国のエリア対応で物件数も非常に多く、家具家電付きがレオパレスの魅力です。
また、短期契約やマンスリー契約が可能ですので短期間の入居もレオパレスなら可能です。
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【レオパレスの全てが分かる】30名の口コミ評判!15の真実とは?
UR高齢者向け賃貸住宅
全国に約74万戸あるUR賃貸物件は、
- 年齢制限なし
- 連帯保証人不要
- 保証会社不要
高齢者の方の入居条件が非常にゆるいです。
また、UR賃貸物件の中には「高齢者向けの賃貸住宅」もございます。
- 床の段差をなくした物件
- 要所に手すりを付けている物件
- 浴室などに段差を緩和している物件 など
URでは高齢者社会を見据えて高齢者の方の受け入れを広くしています。UR物件もぜひご検討してみてください。
UR賃貸の詳細記事>>
グランドマスト
グランドマストは積水ハウスグループが提供するサービス付き高齢者向け住宅です。
- 食事サービス
- 安否確認
- 生活相談サービス
- 緊急対応
- 医療・介護サービス など
充実したサービスを受ける事ができる高齢者向けの賃貸住宅となっています。
ヘーベルヴィレッジ
ヘーベルヴィレッジは旭化成グループが提供するサービス付き高齢者向け住宅です。
積水ハウスのグランドマスト同様に充実したサービスを受けることができます。
グランドマストをご検討される方は合わせて旭化成グループのヘーベルヴィレッジもご検討されるとよいと思います。
まとめ
今回は高齢者の賃貸契約について詳しく解説をいたしました。
高齢者の賃貸契約は、通常の賃貸物件の場合ですと孤独死のリスクや家賃滞納リスクから契約できる物件はかなり少ないのが現状です。
しかし、高齢者向け賃貸住宅の支援サービスがあったり、高齢者を積極的に受け入れてくれる不動産会社もあります。
さらに費用は高くなりますが、充実したサービスを受けることができる「サービス付き高齢者向け賃貸住宅」も増えてきています。
今回ご紹介させていただきました様々なサービスや不動産会社をご利用いただき、最適な賃貸物件を見つけていただけましたら幸いです。
皆様のより良いお部屋探しを心よりお祈り申し上げます。