「賃貸契約の礼金を敷金に変える事は出来るのかな?
礼金を敷金に変えて契約したい!」
このような疑問にお答えします。
筆者は賃貸営業歴5年の賃貸営業マンです。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格も保有しています。
「賃貸契約の礼金を敷金に変えることは出来るのか」
おそらくこのような疑問を持たれている方は、それなりに賃貸契約について詳しい方だと思います。
礼金を敷金に変えることで初期費用で払う金額自体は変わらないものの、入居者にとっては非常にメリットが多い変更事項となります。
結論を申し上げると、「礼金を敷金に変える」ことは簡単ではないのものの、絶対に無理という訳でもありません。
今回は「礼金を敷金に変える」という点にフォーカスを当てて詳しく解説をしていきます。
賃貸営業マンとして実際に交渉をした実例もございます。
上手な交渉の仕方や具体例もお伝えしていきますので是非最後までお読み頂けますと幸いです。
礼金を敷金に変えることが難しい理由
礼金と敷金。
初めてお部屋探しをされる方からすると、大して意味合いが変わらないんじゃないかと思われる礼金と敷金ですが、礼金と敷金では全く意味合いが異なってきます。
おそらく「礼金を敷金に変えることができるのか?」と疑問を持たれている方は、それなりに礼金と敷金について知識を持たれている方が多いと思いますが、ここではまず改めて礼金と敷金について詳しく解説していきます。
礼金と敷金について詳しく理解することで、礼金を敷金に変えることが簡単ではないとご理解頂けると存じます。
礼金とは
まず礼金とは、「オーナー(管理会社)へのお礼金」となります。
一昔前までの賃貸事情は需要過多の時代でした。
物件を借りたい方が多く、その需要の多さに賃貸物件の供給が追いついていない時代があったのです。
そのような時代背景からオーナーの立場が強く、入居者側が物件を借りる際に「お借り致します」という意味合いを込めた費用として礼金が生まれました。
言ってしまえば礼金は入居者側にとって全く意味のない無駄な費用とも言えます。
そして近年は一昔前の需要過多だった時代から供給過多の時代となり、オーナーの立場よりも入居者の立場が強くなったため、「礼金って意味不明!」と感じる方が多くなってきています。
関連記事>>礼金って意味不明!悪習と言われる礼金を払う意味はあるの?
このように礼金とは入居者にとっては全く意味のない費用で、出来る事なら礼金は払わないに越したことは無い費用となります。
では敷金はどうなのか?
下記にて敷金についても詳しく解説していきます。
敷金とは
敷金とは「オーナー(管理会社)に預ける費用」の事です。
この預けた敷金は退去時の原状回復費用として利用されることが多いです。
あくまで敷金は預けている入居者のお金ですので、原状回復費用として使用した敷金が残った場合は、残りの金額に関しては返金されます。
ただし、あまり多くはありませんが、敷金償却(関西では敷引き)という契約内容の場合は返金がない敷金の契約となりますので注意しましょう。
また、敷金は家賃滞納の担保としての意味合いもあります。
異なる性質を持つ礼金と敷金
上記のように、礼金と敷金とでは全く異なる性質を持つ費用であるとご理解頂けると思います。
改めてざっくり比較すると、
礼金→入居者にとって無駄なお金(オーナーの売り上げ)
敷金→一時的に預けている入居者のお金
全く異なる費用ですよね。
入居者にとっては「敷金を支払うのは良いけど礼金を支払うのは嫌だ」という考えになります。
ですので礼金や敷金について多少知識がある方は「礼金を敷金に変えることはできないのか」という疑問が浮かび上がってくると思います。
敷金1ヵ月・礼金1ヵ月の物件が敷金2ヵ月・礼金0ヵ月になった方が、初期費用として支払う金額は同じでも結果的に入居者はお得になりますからね。
しかしオーナー側の立場からすると、礼金が無くなってしまうという事はオーナーの売り上げが下がってしまうという事になります。
- 礼金と敷金は全く異なる性質を持つ費用であること
- 礼金が無くなるとオーナーの売り上げが下がる
以上の点が、礼金を敷金に変える事が難しい理由となります。
礼金を敷金に変える交渉は有効
しかしながら、礼金を敷金に変えるという事は絶対に無理という訳でもありません。
実際に賃貸営業マンの筆者は礼金を敷金に変える交渉をして何度か承諾をもらったことがあります。
交渉自体はタダで出来ますので、礼金を敷金に変更したいとお考えの方は積極的に交渉してみる事をおすすめします。
ここでは実際に賃貸営業マンの筆者が礼金を敷金に変える交渉の具体例をお伝え致します。
礼金を敷金に変える交渉の具体例
礼金を敷金に変える交渉を持ちかける時は、「礼金の値引き交渉と併せて交渉する」事が良いでしょう。
★交渉の具体例
「この物件に入居者したいと考えているのですが、どうしても礼金がネックとなってしまっています…
この物件の礼金の値引き交渉は出来ますか?
もしくは礼金を敷金に変更してもらえればこの物件を契約します」
このように礼金の値引き交渉も併せて交渉すると、多少なりとも礼金を敷金に変える交渉は通りやすくなるでしょう。
礼金の値引きをするよりも礼金を敷金に変えて契約した方が、オーナーとしても「家賃滞納リスク」が小さくなりますし、退去時の原状回復の際にもスムーズに話が進みやすくなるメリットがあります。
また、交渉の際に重要なことは入居の意思をハッキリ伝えることです。
契約が決まるかどうかも分からない中ではオーナーも真剣に交渉の話を聞いてくれず、
「またちゃんと契約の話がまとまりそうなら連絡してよ」
と言われてしまうのがオチです。
入居の意思をハッキリ伝えることで担当の営業マンも熱心にオーナーへ交渉してくれるでしょうし、オーナーも真剣に交渉について考えてくれますよ!
「礼金を敷金に変える」まとめ
今回は礼金を敷金に変えるという点にフォーカスを当てて詳しく解説致しました。
礼金と敷金では全く性質が異なる為、礼金を敷金に変える交渉は簡単ではありませんが、入居者にとって非常に大きなメリットのある変更事項となりますので積極的に交渉してみましょう。
また、礼金の交渉について詳しく解説している記事や、礼金を払いたくない方へアドバイスをさせて頂いている関連記事もございますので、よろしければご確認してみてください。
皆様のより良いお部屋探しを心よりお祈り申し上げます。